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騙されてラッキー。P-ROOM THE WORLDが打ち出す、過去と未来を繋ぐボーダレスな服。

騙されてラッキー。
P-ROOM THE WORLDが打ち出す、過去と未来を繋ぐボーダレスな服。

ファッションキュレーターの小木“POGGY”基史と、DAYTONA INTERNATIONALによる、ファッションに新しい感覚をドロップするコンセプトストア&ブランド<P-ROOM THE WORLD>。「アートやアートトイを手にしたときに感じる喜びをファッションに」「部屋着と外着の壁をなくす」というコセンプトの元に発表されるプロダクトは、小木さんと、数々のアートトイを生み出している「MEDICOM TOY」、ギャラリー「NANZUKA」が渋谷&大阪パルコにて展開するスタジオ「2G」にて販売されている。

その<P-ROOM THE WORLD>より、新シリーズが登場。部屋着と外着の境界線をなくしたいと願う小木さんの思いをチームが形にしたプロダクトは、古着をイメージしたスカジャン、デニムジャケットとパンツ、ミリタリーパンツ、スウェットと現代にアップデートされた内容でラインナップされている。ヴィンテージ好きにはたまらない! ……と、実際に目の前にある服をよく見ると「あれ!?」。着心地良さそうな生地には、そっくりそのまま柄がプリントされているではないか。一体これはどういうことだ! ということで、小木“POGGY”基史さんと、プリント技術を推進する<TOLQ>の中垣拓也さんに話を聞いてみた。

アート感を取り入れ、部屋の中でも外でも部屋でも着られる新感覚の服
—<P-ROOM THE WORLD>のコンセプトを教えて頂けますでしょうか?
小木“POGGY”基史 “P”って僕の中では、いろいろな意味があって、僕のPでもあって、スタッフの個性、パーソナリティー(Personality)とか、Play RoomからPhysical Place……自分の趣味の部屋から仕事場じゃないですけど、Pにはいろいろな意味が込められているんです。それとコロナが始まってから方向性が明確に決まっていったんですけど、アートを手にしたときの高揚感を洋服にも持たせたいなと思いまして、アート性というか、一点もののクオリティを感じさせるようなものを作りたいなと思ったんです。あとは部屋着と外着の壁をなくすといった、コロナ以降そういった意識が今後は大切になってくるのではないかなと思いまして、さまざまなことをチームで話し合って方向性を決めていきました。
—アートは小木さんの中ではどのような存在のものですか?
小木“POGGY”基史 アートってすぐにはできないというか、その人の人生がアートになるのでタームが長いですよね。ファッションは半年くらいのタームで楽しむものなので、その違いはありますよね。
—洋服を買うときに、アート感覚で洋服を買ったりはしますか?
小木“POGGY”基史 今日着ているキース・ヘリングとエリック・ヘイズのTシャツなんかは、まさにそういった感覚で買っているかもしれませんね。自分たちの世代って洋服バカに対する美学みたいなのがありましたけど、今は洋服をたくさん持っていることが恥ずかしい時代でもあるじゃないですか。シンプルな生活がベストだったりするし、誰かのためになるような服だったり、サステナブルを感じさせてくれる洋服だったり、買う理由というのが今は必要なので、自分たちとしてはアート性を持たせることによって、その人のワードローブにきちんと残っていくような服を作りたいと思っています。
—転写に関しては、アイデアがすぐに降りてきた感じでしたか?
小木“POGGY”基史 最初は<Ber Ber Jin>の裕くん(Ber Ber Jinディレクター藤原裕)から、<TOLQ>の中垣さんを紹介してもらったんです。裕くんがデニムを転写プリントしていたんですが、それが凄く面白いなと思っていましたし、コロナになってオンラインミーティングをするようになってから、自分の価値観が変わったんですよね。例えばiPhoneで写真を撮るときに、背後に顔の絵があるとiPhoneの焦点がその顔にあたることがあるじゃないですか。あの感覚じゃないですけど、オンラインだと服が同じに見えることがあって、それなら例えばアメカジを着て外にも行けるけど、家では寝られるような服があったら面白いよねっていう話をしていたんです。それで中垣さんが転写プリントをやっていることを知り、相談をしに行ったんですよね。僕はコンセプトだけを作って、ヴィンテージの選び方や細かい部分は、中垣さんとうちのチームが話し合って決めていきました。
両極に存在する物事を馴染ませ、ボーダレスなアイテム作りを目指す
—中垣さんは転写プリントの手法を、ファッションでやってみたいなと思い<TOLQ>を始められたのですか? コンセプトも含め教えていただけますでしょうか?
中垣拓也 芸大のファッションデザインコースで勉強をしているとき、アートにはあまり興味なかったんですけど、でもダリなどのトリックアートに関しては興味があったので、独立したタイミングで古着のGジャンを転写してジャケットを作ったのがきっかけで、転写プリントを始めたんです。<TOLQ>のコンセプト自体がボーダレスなんですけど、今、国籍や性別の境界線とかがなくなってきているじゃないですか。僕の中で有限と無限、過去と未来、アナログとデジタルとか、そういった二極化が自分の中で矛盾しているとでも言いますか、ヴィンテージの良さは過去のもので一点しかないという有限であるので、そこに惹かれて好きだったんですけど、その一方で、デジタルで無限なものに凄くロマンを感じるというか。そのふたつの境界線を曖昧にしていくことをやりたいなと思ってきたので、今回、小木さんにお話をいただいたときに外と中の境界線をなくすということだったので、僕も凄く楽しみでした。ヴィンテージは素晴らしいし値段も高いですけど、トリックアートのようにこういった技術を使って作ることにロマンを感じるので。
—お2人の未来に向けた目線は、合致されているようですね。
小木“POGGY”基史 アナログレコードの時代からSpotifyまで、カセットテープ、CD、レーザーディスクだとか、自分は全部通ってきたじゃないですか。今はストリーミングの時代ですけど、洋服がストリーミングの時代になったらどうなるのかなと常に考えていて。例えば柄がマイクロチップに入っていて、ストリーミングするとバーっと服がそれに変わっていくとか、いずれそうなると思うんです。それをここに落とし込んだときは、きちんとブランドへもお金が還るとか、作った工場にもお金が入るとか、ゆくゆくはなっていくんじゃないかなと。
—実際に転写プリントされた服を見て、クオリティの良さに驚きましたし、これまでにない新しい感覚を感じました。
中垣拓也 なんとなく僕の中では、アンディ・ウォーホルがシルクスクリーンでアートを量産した感じと近いのかなと。ヴィンテージのディテールって、当時はそのディテールを使っていたから存在していましたけど、僕の中でそれを使わなければいち柄としての認識なんです。なので市場価値が高く、後世に残していきたい貴重な数百万円するヴィンテージアイテムを、トリックアートじゃないですけどそっくりそのままプリントすることは、プリント自体に意味が出てくるし凄く面白いなというか。それでここ数年、裕さんと残していきたいヴィンテージデニムを転写プリントで作らさせてもらっているんですけど、それを元に、今回リクエストいただいたものを古着屋でお借りして作りました。
Gジャンで寝る感覚を今にアップデートした結果の逸品
—各々のアイテムの魅力を教えていただけますでしょうか?
小木“POGGY”基史 スウェットは家でくつろげるスウェットをイメージしています。セレクトショップの人ってスウェットが好きな人たちが多くて、着なくなったものを部屋着や寝間着にしている人が多いイメージなんですけど、もっと寝やすいものになったら面白いのでは、という発想から作りました。これは寝ていても大丈夫な素材ですよね。
中垣拓也 ポリエステルの生地なんですけど、プリントも乗りやすいですし、肌ざわりも良いし涼しいです。洗っても速乾です。
—スカジャンはパッと見た目、転写でないと思いましたが、袖や襟の部分、内側までも忠実にされていて驚きました。バックにプリントされている、空山基さんのアートも素敵です。
小木“POGGY”基史 空山基さんのアートに関しては、<2G>のロゴを空山さんに描いて頂いていたり、NANZUKAさんがアート面を担当いらっしゃるので、NANZUKAさんを通じて使用させていただきました。
—デニムのセットアップも新しい解釈というか、こうくるのか! と。
小木“POGGY”基史 僕は海外へ行くとGジャンを着ながら寝てしまうことがあるんですけど、それを以前<White Moutainering>の相澤さんに盗撮されていて、Instagramにアップされたことがあったんですね笑。そのときに「Gジャン着て寝てるんだ!」と、見ている方にコメントをされていたんですけど、飛行機の中ではGジャンを着て寝てたりするので、それが僕の中で衝撃的で(笑)。それで、デニムプリントでどこで寝れるものがあったら面白いなという発想でした。
—デニムのヴィンテージ感を転写プリントで出すときに難しいなと思うことはなんでしたか?
中垣拓也 Gジャンだと、だいたい100枚から150枚くらいの写真を撮ってデータ上ではめていくんですけど、色を合わせるのに1番時間がかかりました。あとは裁断ですね。手でないとできないので。
小木“POGGY”基史 (デニム柄スウェットを見て)レングスは移動できるんですね。ちなみに購入された方には、各々のアイテムが転写プリントされた袋に入れてお渡しするんですよね。
共犯者とともに企て、服を通じてこれまでにない体験を人々に
—<P-ROOM THE WORLD>で今後やってみたいことはありますか?
小木“POGGY”基史 例えばの夢の話ですけど、<STUSSY>とコラボレーションをしてスタジャンをプリントするとか。<STUSSY>のスタジャンを着て寝るとか凄いことじゃないですか(笑)。ヴィンテージデニムが好きな人って、昔、ヴィンテージデニムを履いて寝ていましたよね。お風呂に入ったりだとか。好きなヴィンテージを着て外に行きたいし、それを着て寝たいしって。この企画書を書いたときに、子供が仮面ライダーのプリントのパジャマ着ている姿がイメージに出てきたんですけど、大人になってもそういうイメージでレアなヴィンテージを着て寝れたら、最高ですからね! あとはアートとコラボレーションをしたものを、世界へ届けられればいいなと思っています。
—どんなアートが好きですか?
小木“POGGY”基史 ストリート発のアーティストの方に好きな人が多いですけど、魅力的な方々が多いので惹かれるのかもしれませんね。あとは実際に会って話をしたことがあるアーティストの作品は興味があります。MEDICOM TOYさんやNANZUKAさんのおかげでいろいろなアーティストの方々にお会いできているんですが、話をする度にそのアーティストの作品を家に飾りたいなと思いますね。
—中垣さんは<TOLQ>で将来的にやってみたいことはありますか?
中垣拓也 今回、小木さんとの取り組みもそうですし、4年前から一緒にやらせてもらっている<Ber Ber Jin>の裕さんもですけど、僕1人でやっても肯定されないので、共犯者じゃないですけど、いろんな人たちを巻き込んで制作できたらもっと面白いことになるのかなと思っています。それと体験を感じてもらうというか、数百万円するようなヴィンテージは着れないけど、それがプリントされたものを着ることで、レアなヴィンテージデニムを着ているという感覚になる。その体験を感じてもらえたら、それがきっかけでヴィンテージを更に好きになってもらえたら良いなと思います。

P-ROOM THE WORLD