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SUSTAINABLE FREAK -Tetsuzo Okubo

WHY SO FREAK?
SUSTAINABLE FREAK -Tetsuzo Okubo
リサイクルをテーマに20年、変わらず持ち続ける姿勢とは

世にサスティナブルという概念が浸透する以前より、いち早くリサイクルに着目した活動を行ってきた大久保鉄三さん。どのような姿勢で20年に渡ってA LOVE MOVEMENTをディレクションしてきたのか。一貫して変わらない考え方を教えてもらう。

ファッションを介してメッセージを伝えられる
—A LOVE MOVEMENT(以下、ALM)がリサイクルにフォーカスしたのにはどんな理由があったんですか?
大久保 以前、あるブランドに勤務していたときに、シーズンが終わるごとに残った洋服を処分する仕組みに疑問を抱いた時期があったんです。その頃からリサイクルに興味があったので、辞めてからLAで古着の仕事に携わるようになったんです。古着は、すでにリサイクルの一環にあるものじゃないですか。いわゆる大量生産に関わることを辞めようと思って。
—当時から、すでにファッションシーンにおける大量生産の仕組みに疑問を感じていたと。
大久保 そうですね。1995年頃だったんですけど、それまでやっていた仕事を辞めたら、リサイクルをしようと最初から決めていたんです。当時、ヴィンテージムーブメントでもあったんですが、私が興味を持ったのは、安価に取引されていたカシミアのセーターで、高額でやり取りされるデニムより、そっちに価値を見出したんですね。しかもカシミアは化学繊維の洋服と違って、肌になじみ呼吸するように心地よく着ることができる。本当に便利な洋服だと思って。
—それでALMは古着のカシミアを使っているんですね。デザインがスポーティーなのは何かこだわりがあるんですか?
大久保 カシミアのセーターはタートルネックだったり丸首だったりして着脱のときに髪型が崩れてしまいますよね。それに、冬に百貨店だとかショップに入ると、暖房が効きすぎていてセーターを脱ぎたくなる。それでパッと着れる形にしたいと思ってデザインを考えたんですが、そこで袖に某スポーツブランドからインスパイアされたラインを施してジャージーっぽくしたら面白いんじゃないかと。そのタイミングでファッションショーがあったので、ALMのアイテムを出したら注目していただけて、ブランドとしてオーダーが入るようになり、本格的にALMが始まったんですよね。なので、カシミアのリメイクアイテムというのがベースにあります。
—ALMのリメイクアイテムは普遍的なシルエットが特徴的ですよね。
大久保 カシミアのラインとしては2型しかないんですよ、ジップアップとフーディー。それだけで20年くらいやっているんです。型紙なんかフードとポケットぐらいですよ。やっていることがリメイクなので、ディテールの大きさをバリエーションで変えるだけなので。もう、本当にシンプルな作りだし、ずっと作り方を変えていないんです。
—もう1つ、ALMのアイテムで独特なのが多種多様な刺しゅうだと思います。
大久保 メインはスマイリーフェイスのパッチですね。フリーマーケットでリサイクルの材料を揃えることが多くて、中には70年代にアフリカで作られたようなイミテーションのスマイリーフェイスがあったりするんですよ。ところが、そっちの方が奇抜な色やデザインで可愛らしかったりしていて。そのときにデッドストックを大量に買って使っていたんです。その頃からブランドのトレードマークとしてスマイリーフェイスを使用していますね。ただ、当然ですが、それも使い果たして、今は刺しゅう屋さんで、自分用にアレンジしたパッチを作って、メッセージを加えたりして使っています。パッチや袖のデザインなど、総じて考えると、自分が作っているものはパロディものとも捉えられるので、洋服に取り付けているタグはジョークを交えた記載をしています。
—ちなみに、デイトナ・インターナショナルが展開するファーストハンドにも深く関わっているとお聞きしたのですが、いかがでしょう?
大久保 お話した通り、20年くらいリサイクルをテーマにしたブランドをやってきて、色んなブランドや企業とコラボしてきたので、その経緯に着目いただいてお話をいただいたんです。サスティナブルをコンセプトにしたショップでもあるということで、私がやってきたことと共通する部分も多く、アドバイザーとして関わらせていただいていますね。自分のアイテムであったり、リサイクルに関係する友人のアーティストを繋いでいきたいと考えながら向き合っています。ただ、最近はなかなか日本に帰れない状況が続いています。今後の具体的な話は進んでいないんですが、せっかく場所としてショップがあるわけなので、そこにリサイクルが好きな人やコンセプトを共有できる人を集めて何かを発信する場所を実現できたらいいですね。
2019年10月Firsthandローンチイベントの一環で、モデル兼ナチュラルダイアーティストのアイリス・ロウ(Iris Law)によるタイダイ染めのワークショップも行った。
—なるほど。現代はショップなどの場所から発信されるメッセージ性が購買層にとっても重要だと感じます。
大久保 ALMも1点ものなので、アイテムは高額になってしまうんですが、高いなりの理由が必要じゃないですか。顧客にとっても同様の状況です。そこで、バックボーンやストーリー、制作工程などを直接説明すると、しっかり理解していただける。そして、その人の活動をサポートしようって気持ちに変わっていくんですよね。洋服というよりも、アーティストの作品を買う感覚になってくる。そういう提案や見せ方、ブランドの紹介をしていかなくてはならないですよね。そのための知識がスタッフにも必要になってくる。やはりオンラインだけでは伝えきれない、生の人間が接客する良さというのがお店にはあると思います。
—では、リサイクルをテーマにされたプロダクトを生み出し続けてきた大久保さんから見て、昨今のサスティナブルの潮流は、どう感じますか?
大久保 単純に良いことだと思います。時代の流れ的にも、そう成らざるを得ない状況でもありますよね。企業としても対応しなくてはいけないことでしょうし、ビジネスでもある。もちろんトレンドでもある、というのは事実だと思うのですが、良いことですから。これから、そういったことがしっかり定着していけば良いですね。
ALMを象徴するスマイリーフェイスのオリジナル刺しゅうや”RECYCLED TEENAGER”のメッセージが目を引く。新たに作られた1点もの。Cashmere cardigan_A LOVE MOVEMENT ¥242,000
—最後に、今回制作されたカシミアのニットについて、どんなデザインなのかを教えていただけますか?
大久保 バックに“RECYCLED TEENAGER”と刻んでいるんですが、私が住んでいるカルフォルニアっぽいなって思って。まさにそういう人が多いんです。何歳になっても若い気持ちのままで大人になれないおじさんたちがいっぱいいるんです(笑)。そういう人は新品ではなく、あえてリサイクルの洋服を着ていたりするんですが、そういう人たちのことを指しているんです。


<Profile>

大久保鉄三
Tetsuzo Okubo

カシミアをリサイクルするブランド、A LOVE MOVEMENTをディレクションする。Firsthandのプロジェクトアドバイザーも務める。活動拠点はLA。