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サウナフリーク -サウナを建てた男と、建てたい男-

テレビ番組『アメトーーク』の「サウナ芸人」回に出演するなど、サウナ好きを至るところで公言してきたサバンナ・高橋茂雄さん。かたや長野県信濃町の野尻湖近くにThe Saunaを独学で仲間たちと作りあげ、多くのサウナ好きを唸らせている、野田クラクションべべーさん。これは、生粋のサウナ好き二人による、今盛り上がりを見せるサウナについての熱き対談。果たしてサウナを建てたい男・高橋さんは、本当にサウナを建てることができるのか!?

Text_Shinri Kobayashi

道頓堀に飛び込むように水風呂に(高橋)

―ではさっそくですが高橋さんのサウナ歴を教えていただけますか?

高橋「サウナ歴は、だいたい18〜20年くらい。当時大阪に住んでいて、清水湯というお風呂屋さんのサウナで、阪神タイガースの試合を観ている時に、阪神の攻撃はサウナの中で見て、守備の時は水風呂に入るというのをやってました。星野監督時代の2003年に阪神タイガースが優勝したことがあるんですけど、阪神が好調で、それまで繋がらなかった打線が繋がって、今岡がタイムリーを打って…という10分という枠を超えて阪神の攻撃が続いて、道頓堀に飛び込むようにようやく水風呂にダイブした時に(笑)、あ〜サウナって最高やなと気づいて、そっからですね。大阪の清水湯にロッカーを借りて、今は年イチくらいですが、今もまだ借り続けています」

―お好みのサウナの条件は?

高橋「温度や湿度もあるけど、最終的にはそこにいる人の人柄と空気感と人間性とマナー。よくないサウナには、よくない人がいるし、いいサウナにはいいひとが来て欲しいなと。昨今のサウナブームで、たくさん人が来ているから、サウナたるはなんやとか、サウナのマナーを知らない人がいるじゃないですか。だからこそ、いいサウナにはいい人が来るのが理想ですね。今日は、誰もいない北欧…、最高ですね」

―お一人で行きますか? 誰かを連れて行かれますか?

高橋「3、4人で行くことが多いかな。飯食う前にサウナに行くことが、生きていく中で一番大切にしていること。サウナで何食うか相談しますけど、サウナの1回目の外気浴で最近の仕事の話をして、2回目で何を食いたいか話して、3回目でどこで食うか決める。そこに向けて、仕上げていくというリズム。東京のサウナ事情はやばいですよね。行列なんか、すなよと。行列して入るサウナなんて一つもよくない。経営されている側は喜ばしいことでしょうけど。サウナブームの功と罪でしょうね。北欧は予約制なんで、人数が制限されていて最高。そうじゃないと辛いっす」

―べべーさんの場合は?

べべー「サウナ歴は全然浅くて、四年前に会社の企画で日本一周をしたんですね。そのときに野宿しながら20kgの荷物を背負って、お遍路を毎日歩く時があって、3、4日お風呂に入れなくて、精神的に結構きつくて…。仕事もしながらだったから、仕事をするために見つけたローソンが7kmも先で、4時間歩いて行かなきゃいけなかったとか。今も覚えているんですけど、高知県の田野町の『たのたの温泉』というところに辿りついて、入ったら、日焼けがやばくて、体を洗ってまず水風呂に入ったら、日焼けが冷めていく感じがすごい気持ちよくて…。その勢いでサウナに入ったら、水風呂が先だったんで、かなり長く入れたんですよね。そこはテレビもなくて、オルゴール系の音楽で、たまたま安室奈美恵さんの『CAN YOU CELEBRATE?』が流れてて、サウナで研ぎ澄まされていたから、あー、結婚してえってなって(笑)。外気浴で外に出たら、小川が流れていて、気持ちいいなと」

―出会いって大事ですね。

高橋・べべー「大事です」

サウナは人と人のコミュニケーションの場所(高橋)

高橋「水風呂に足をつけてみて、無理無理! ってなっている人に、『お願い、サウナ→水風呂に一回だけ入って』とお願いしてやってみると、2回目から急に気持ちよくなるのが、サウナのすごいところだよね」

べべー「地元が下北なんですけど、笹塚のマルシンスパに出合ってしまって、それまでは笹塚はボウリングに行くだけだったんですが、それからはボウリング行って、サウナ行って、飲むという。上野は飲み屋もあって、天国ですよね」

高橋「僕は、サウナ行って、仕事行って、またサウナ行って、飲みに行くというのはありますね。サウナは、何度でも行きたくなる」

ーいわゆるご自身のサ道というのは、どう身につけたんですか?

高橋「全部自己流です。誰かに教えてもらったことはないですね。でも、一緒に行った人には、同じ体験をして欲しい。サウナに行くと一緒に過ごすタイプと、バラバラになるタイプがいると思うんですけど、自分は絶対に一緒に行きたい。みんなでサウナも水風呂も一緒に回るんだけど、ちょうどいい外気浴の時間は、みんな違う。初めてのやつはどれくらいの時間で、そろそろかな? と周りを見始めるのかが気になってしまう。自分が気持ちよくはなりたいんだけど、あいつもう行きたがってんなってのは気になる。だから、どちらかというと教えたいですね」

ーサービスが行き届いてますね。

高橋「大阪の清水湯で小学生が、『高橋さん、弟子にしてください』と来たことがあって、『なんの弟子なん?』て聞いたら、高橋さんのサウナの入り方を全て教えて欲しいと。その子は当時小学五年生だったのが、今はもう大学二年生。ちんちんに毛が生えてきたことを報告してきたり(笑)。『毛が生えてきたんです、見てください』と見せた瞬間、1本だけ生えていた毛が抜けたり(笑)。『信じてください、ほんまに生えていたんです』って(笑)。あとは、女の子がその子の部屋に来た時の話とかも。それも全部サウナでのコミュニケーション。サウナは人と人のコミュニケーションの場所です」

なんやこれってことが起きるのがサウナ(高橋)

べべー「僕は、サウナを好きになって、サウナ施設を始めて、最近はととのえる側に回りました。施設では、セルフロウリュウの節度やマナーを作るのが難しいんですよね」

高橋「難しいな。サウナ後の水風呂の前に汗を流すのだって、教えてくれないと知らん人もいっぱいいるし。若い子だけでなく、何十年もそうしてんやろなっていうおっさんが汗を流さずに水風呂に入る人もおるし。水風呂に汗かいたまま入る人に、どう注意するかというのはずっと何十年も考えていること。直接言うと喧嘩になるから、僕は壁に一度当てて注意する。一緒に行った後輩に、汗のまま水風呂に入らそうとして、『お前な…』て注意する。後輩を注意するようにして、おっさんを注意する。あと、最近だと黙浴て書いてあるのに、めっちゃ喋る人もいる。そこは勇気出して、『黙浴て書いてあるんで』って。でも、(きつめの口調で)『なんで?』って返してくる人もいて、怖いですよ」

べべー「The Saunaでは、ロウリュウしていいと言っているんですが、でもしすぎないでというのは、ちょっと言いづらい。だから、ネガティブな言い方じゃなくて、ロウリュウしない方がいいですよと、ちゃんと入り方を教えます。まずは薪の温かさを感じてもらって、汗が出てきたら、ロウリュウをするのが通ですよと言う言い方。遠回しに、ロウリュしすぎないでねと」

高橋「それはうまいなあ。初めて、The Saunaに行った時に、ここなんや!? と。サウナ室の空気が、やっとここに来れたという人のサウナ愛と、ここを作ったべべーちゃんのサウナ愛やった。マナーが悪い人どころか、初めて会った人とも気持ちいいですねと挨拶して、「どこからきたんですか?」と聞かれて、「新幹線で東京から来ました」って。あとで(The Saunaに併設されている)LAMPで飯食ってたら「よかったら、長野駅まで車で送りましょうか?」って。なんやこれ!? って。サウナに一緒に入っただけですよ(笑)。そういうことが起きるのがサウナやなって」

べべー「うちのお客さんは、素敵な人が多くて、そのパターンをよく聞きます。送っていきますよとか、 仲良くなって、一緒にサ旅(サウナを巡る旅)に一緒に行くとか。そんなこと起きるんだ、すごいなって」

炎天下での奇跡のようにうまい水を再現(べべー)

ーお手元のスケッチブックに、サウナにまつわるこんなグッズがあったらいいなというのを書いてください。

高橋「一発目にサウナ入ると、シャバ汗(シャバシャバした汗)が出て、2回目は玉のような汗。3回目にほんまの汗になる。4回目は、もう飲めるんちゃうかなくらい。で、その汗をこれでろ過して、飲料水して飲めるといいかなと(笑)。そういえば、力士って肌が綺麗じゃないですか。相撲取りは、3段階の汗をかかないとダメだと言われているんですよ。だから知らず知らずのうちに、僕も力士と同じ汗をかいているんだなって(笑)」

べべー「僕は、サウナの帰り道がすごい好き。そよ風とかふわっとして。で、ヴィヒタ(サウナで全身を叩くために白樺の若枝を束ねたもの)の香りのするヘアトニックを作りたい。The Saunaは薪のサウナで、体にその香りがつくんですけど、長野から帰って東京に着いてその香りを嗅いだら、また行きたくなったというお客さんがいて、香りってすごく重要だなと」

ー温度にもよると思いますが、サウナ・水風呂・外気浴でそれぞれどれくらい入るんですか?

高橋「基本サウナ10分。水風呂と外気浴は特に時間はなくて、自分が気持ちいいと思うところまで。2ラウンド目のサウナに行く時に、ゼロサウナという体の表面の汗をゼロにしていきたいんです。自然に汗が引くのを待つか、タオルで拭くかによって違うんですけど、ゼロにしたことによって、自分はどこから汗をかくのかとか、汗の形状を目視できるんですよ。2回目は玉のような汗に変わったなとか、ここは俺汗かきやすいなって見ながら」

べべー「僕も僕はサウナ10分くらいで。水風呂と外気浴は気持ちいいところまで。必ずサウナに持っていくのは炭酸水。外気浴のときに飲みます。普通の水でもいいんですけど、やっぱり炭酸水で、調子良ければペリエ。The Saunaはサウナの中でも飲めるんですけど、冷えたの飲むとやばい。僕は野球部だったんですけど、炎天下での奇跡のような水のうまさを再現できるなと(笑)」

サウナのための空き家を探している(高橋)

ーThe Saunaは、どうやって始めたんですか?

ベベー「編集とかライターのようなことをやっていたんですが、今後どうしようかなと悩んでいて。新宿のベルクで飲みながら、DOB(ドブ)という先輩に相談したら、サウナをやりなよとアドバイスをもらって、その日に『サウナをつくろう―設計と入浴法のすべて』という本をKindleで買いました。ログハウスを作れる人に、お金はないんですけどと相談したら、自分たちで作るならいいよって教えてもらいながら、ほぼ独学で作りました」

ー今のThe Saunaはどうなってますか?

べべー「2棟サウナがあって、その間を流れる川に水風呂代わりに飛び込みます。今年(2021年)の夏には、さらに2棟サウナを完成させる予定です」

ー高橋さんはサウナを建てたいということで、どんなサウナがいいのか、理想を教えてください。

高橋「自宅ではなく、どこかの別の土地をイメージしてます。めしは空き家とかを使って、庭にサウナを建てて、焚き火できるようにしたい。The Saunaは、べべーちゃんとか、とてつもない数の人力と時間がかかってるじゃないですか。僕は時間ないんで、どうしたらええんやろというのが、一番心配です」

ーこれはテントサウナじゃダメなんですか?

高橋「テントサウナじゃないんです。それはそれでいいんですけど、足元の温もりが最高潮に達しないんで、 やっぱりサウナを作りたい。今は自分のためのサウナだけど、以前はサウナ施設を作りたいという妄想もあって、その時に考えたのが、サウナと水風呂の間の動線にシャワーがあったら、強制的に汗を流せる。プールにもあったじゃないですか、あのイメージですね。この部分は、車の洗車機のようにバーって洗ってもいいなと」

ー高橋さんから、べべーさんに聞きたいことはありますか?

高橋「オススメのサウナメーカーとかを聞きたいね」

べべー「時間がないけど、サウナを作りたいという人には、キットをオススメしてます。種類はいっぱいあるんですけど、誰から買うかを僕は大事にしてます。福岡のIZBAというロシア式バーニャのサウナのアルビナさんという方がすごくいい人で、いいなと。バレル式サウナという樽のようなサウナを体験したんですが、15分くらいですぐに温まって、すごく良かったんです。2日で建てられるし、お値段もいいんですよ」

ーおいくらですか?

べべー「一番ミニマムで、ストーブ、石など全て込みで150万円くらい。全然安い。ホームセンターで10、20万のサウナは作れるんですけど、やっぱり10、20万のサウナなんですよ。作るならある程度完成されたものがいいなと」

高橋「もうよそで言わんといて、それにするから(笑)あと水風呂は、冷やすのが難しいと聞くよね」

べべー「じゃあ、井戸がいいですね。どこの地域にも調べれば、井戸を掘れる人はだいたいいますよ。年中冷えてるから、いわゆるチラー(水を冷やす機械)もいらないし、井戸も地中に埋めてるから見えないし」

高橋「今、空き家を探してる段階で、べべーちゃんには、サウナを作るの手伝って欲しい」

べべー「川沿いはどうですか?」

高橋「川沿いは最高やけど、見つからへんのやな。ちょうどいいとこがなかなかなくて…」

と、熱いサウナ談義はまだまだ冷めずに続いていくのだった…

高橋茂雄 @shigeo0128

サウナ歴およそ20年。吉本興業所属。1994年、八木真澄とサバンナを結成し、現在はコンビ、ピン含めて様々なメディアに出演。阪神タイガーズファン。趣味は、銭湯・サウナ、漫画(ドラえもんなど)、音楽、将棋、リアル脱出ゲームなど。YouTube「サバンナ高橋/しげおチャンネル」はただいま絶賛配信中。



野田クラクションべべー @the_sauna_bebe

東京都世田谷区出身。東京のWeb制作会社の株式会社LIGに入社後、アメリカ横断、日本一周を達成。2018年に信濃町に移住し、クラウドファンディングで支援を集め「The Sauna」をオープン。サウナを通して、サウナー(サウナ好きの人)を増やす活動を行っている。