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The 10th FUKUSHIMA Nippon AWAKES -日本の目覚め-

アメリカで始まったソーシャルムーブメント「Wide Awakes」の中心メンバーであるNY在住のアーティストJose Parla(ホセ・パルラ)の声がけで、福島の問題やエネルギーを題材に表現を続ける平井有太氏が呼応してはじまった、「THE 10th FUKUSHIMA,Nippon AWAKES」プロジェクト。このプロジェクトでは「3.11を2度と起こさせないこと」や、私たちが陥りがちな無関心、無自覚を目覚めさせ、自律共生を実現するきっかけとなることを目的としています。今回は、POPUPを開催中のFirsthand RAYARD MIYASHITA PARKにて平井氏に話を伺った。

―Nippon AWAKESはどのようなきっかけで発足したのでしょうか。

トランプ政権やBLMに端を発してアメリカで発足した、自律分散型な市民のアートと意識喚起の活動「Wide Awakes(広い目覚め)」参加の誘いがきて、日本独自の名前、テーマを仲間と考えました。それがちょうど、10年目の3.11のタイミングでした。日本ではもともとオリンピックに合わせて、福島の今を伝える取り組みをしようと、3.11以降の市民による放射能測定に関わるメンバーで協議を重ねていました。

―中心人物であるホセ・パルラ氏とはどういった経緯で活動をともにすることになったのでしょうか。

僕はイーズと呼んでいますが、ホセとは96年から01年住んだNY時代以来の友人です。01年の9.11直前、彼とDJのAtomik Rageを連れて東京〜大阪を巡るツアーを、日本の仲間たちと展開しました。今回の発端には、やはりコロナ禍がありました。僕は2020年4月に、このまま世界が根底から変わってしまうと感じ、ネット上に「BIOCRACY宣言2.0」を公開しました。その英訳を国外の友人たちと共有していたところ、イーズからの返信がWide Awakesへの誘いでした。

ホセ・パルラ/Jose Parla
パルラは1973年マイアミ生まれ。サバンナ美術大学とニューワールド・スクール・オブ・アーツでペインティングを学び、現在はブルックリンを拠点に活動しています。ジャクソン・ポロックやジョアン・ミッチェルのようなアメリカの抽象表現主義の系譜を引き継ぐ作家として世界的な注目を集めており、国際社会におけるアイデンティ、マイグレーション、イマジネーションなどをテーマにした大型作品を中心に活動しています。


https://enect.jp/people/jose-parla-interview/

―福島でのこれまでの活動についてお教えください。

原発事故直後から取材で往復をはじめ、週刊朝日グラビアでの連載や、文春でも何度もグラビア記事をつくらせてもらってきました。その結果として福島大・農協・生協が連携して行う農の復興プロジェクト事務局として、2015年までの約3年間福島市に住みました。最後には市議選出馬、落選も経験し、その中で根っこの部分から福島の魅力を学ばせていただきました。それらの活動の軸であった土壌のスクリーニングプロジェクトが、今回の取り組みにも繋がっています。放射能は結局、空間線量の単位「シーベルト」は目安であり、具体的にそこにある放射性物質の量を示す「ベクレル」で測る必要性があります。全国の有志がそれを実践し、ネットワークとして結び付けているのが、今回一緒にやっている「みんなのデータサイト」の面々でした。

―活動を経て、福島の現状はいかがでしょうか。

原発という存在の最大の特徴は、僕たち市民が分断させられることだと思っています。その建設前から事故後にいたるまで、賛成か反対か、安全か危険か、敵か味方か、あっち側かこっち側か、原発には常に分断がつきまといます。大きな目的のためには、「寛容」の姿勢が有効と思っています。また、僕らが主体的に未来を掴みとるためには、答えありきでない選択肢と、そもそも真っ当な答えを選ぶための情報が必須です。だからこそ、福島の未来については、放射能の測定という行為が不可欠なのです。

―「人間の表現」と「原発事故のファクト」のデータベースづくりのためのクラウドファンディングも展開されていらっしゃいます、改めてこちらのプロジェクトに対する想いなどお伝えいただけますでしょうか。

3.11から10年という節目と、アメリカの大変な状況のカウンターとして始動したWide Awakesを繋ぐことができるものはアートでした。僕らが自分自身の力で未来を切り拓くことができるツールとして、表現の力は無限です。そして今生きているということは、必ず誰にでも創造(想像)力が備わっています。大好きで頼もしい友人たちの賛同には心底感謝とリスペクトですし、今回の取り組みが何らかの文脈でアンテナに引っかかったのであれば、もちろんクラファンの支援は大変ありがたく、あとはそれぞれの場所とできることで、何でもコトを始めてもらえたらと思います。Wide Awakesはそのように世界中に飛び火しています。僕らが身の回りを活性化していくことで、おのずと道は切り拓けます。

期間中お買い上げの方には、昨年文部科学大臣賞を受賞した福島県南会津郡只見町立只見中学校の学生が新聞紙をアップサイクルしたショッパーにて商品を渡している。

―敵は「無関心」であり、問題は無関心な自分にすら気づけない「無自覚」と語られていますが、そのような「敵」とそれぞれが向き合うためにはどうすれば良いとお考えなのでしょうか。

これはまさに自分のことでした。3.11以降の福島に身を置いて、自分の無関心と無自覚に気づかされたことが大きな原動力になっています。それこそ日々使うエネルギーがどこからきているか、誰によってどうつくられているか、自分が浅はか過ぎたからこその3.11だったと捉えています。だから僕は今、「とびきりの電気です」と胸を張れる、「みんな電力」という会社の、誰がどうつくっているかがわかるエネルギーを社会に拡めることを自分の表現活動としています。電気の切り替えは誰でもすぐできて、社会を根底からつくり直せる大きな力です。そちらもぜひ、一緒にやりましょう。

―今後の活動の展望などをお教えください。

透明性と情報の共有は、僕らが生きる最低条件です。大きなものに頼って思考停止でもやっていける社会は終わりました。おのずと分散型の、地域が活きる、僕ら一人一人が考え、皆で一緒につくる社会でないと、どうやら地球はガチで終わってしまう。だから原発が実際に50以上もある日本で、市民による市民のための測定室は必要不可欠です。現在クラファンと別に、目的は同じ市民測定室支援で、深川の計6店舗でLady Aikoさんとの2人展「The 10th」も開催中です。そちらもぜひチェックして、琴線に触れる作品があれば買ってみてください。これから、今回のケースでいえば「アートを買うことが測定室支援に直結」というソーシャルな体験が、当たり前のことなっていきます。Firsthandさんとの取り組みは、そのプレミアムな先駆けなんです。


平井有太

みんな電力のオウンドメディア「ENECT」編集長/認定NPO法人ふくしま30年プロジェクト理事/アーティスト。

1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。2013年度第33回日本協同組合学会実践賞受賞。福島では福島大学の客員研究員として農の復興事業をJA新ふくしま(当時)、福島県生協連と協同し、市内すべての田んぼ/果樹園の含有放射性物質を測定。根幹にあるエネルギー問題と社会のサステナビリティとの関わりを深化させる。

単著『福島』、『ビオクラシー』(共にSEEDS出版/2015、2016)、『虚人と巨人』(辰巳出版、2016)。共著 『農の再生と食の安全』(新日本出版社、2013)

個展「From Here to Fame」(HEIGHT原宿、2005)、「ビオクラシー」(高円寺 Garter、2016)

コロナ禍の「ビオクラシー宣言2.0」

グループ展「Frank151 Far Eastern Conference Exhibition」(Scion Installationロスアンジェルス、2006)、「原子の現場」(鞆の津ミュージアム、2017)、「If Only Radiation Had Color: The Era of Fukushima」(X & BEYOND コペンハーゲン、2017)、 「ビオクラシー」(はじまりの美術館、2018)、「清山飯坂温泉芸術祭 SIAF2018」(旅館清山、2018)、「The 10th」(w/Lady Aiko@深川、2021)



“Nippon AWAKES THE 10th FUKUSHIMA”
〜3/26(Fri.)

Firsthand RAYARD MIYASHITA PARK

RAYARD MIYASHITA PARK North 2F
11:00-20:00

https://firsthand.jp/



「人間の表現」と「原発事故のファクト」のデータベースをつくりたいクラウドファンディングプロジェクト実施中